夢分析について

夢について科学的な研究をはじめておこなったのはフロイトです。フロイトは夢という非科学的にみえる現象にたいして、ひたすら科学的であろうとしました。現在では、フロイトの夢理論をそのまま応用することはあまりありませんが、この科学的であろうという態度は、後進の研究者にも引き継がれているし、尊敬したいところです。夢そのものを本格的に研究したのはユングでした。ユングは夢やビジョンの研究から、神話や昔話や宗教のさまざまなイメージの世界を研究しました。

ユング派の夢分析では、夢を無意識からのメッセージと考え、クライエントの連想やそれを聞いた時の治療者のインスピレーション、あるいは神話やおとぎ話、または宗教の知識を用いて(拡充法という)、夢の意味するところを考えていきます。夢の解釈には、夢を夢見手の人格の内容と対応付けて考える主体水準の解釈と、夢の内容を夢見手の外界の生活状況と対応させて考える客体水準の解釈が可能です。夢に現れるイメージは現実の常識的な意味には当てはまらないことが多く、フロイトはそれを知的に象徴解釈しました。

ユングは、元型の存在を仮定し、そこから多くの元型的イメージが夢に生じてくると考えました。グレートマザー、老賢者、影、アニマ・アニムス、子ども、永遠の少年・少女などが元型として考えられているもので、さまざまなイメージで夢の中に現れます。そうしたイメージを通して、無意識が何を夢見手に伝えようとしているのかを、クライエントと治療者が一緒に考えていくのが、夢分析ですることです。

心身のさまざまな症状や問題で困難に陥ったとき、人間は可能な限り、まずは自分自身で解決の試みと取り組むことになるのではないでしょうか。

それでも進展が見出されない場合、セラピストや臨床心理士を訪れることになるかと思います。ただ、当然のことではありますが、セラピストという存在は、クライエントの方々に、いわゆるアドバイスを与えることはほとんどできないものです。

心理療法やカウンセリングの基本は、クライエントに耳を傾けることです。この「耳を傾ける」対象は、もちろんクライエントの心身なのですが、ここで不思議なことは、クライエントも、必ずしも自分自身の心身を熟知しているわけではないようだということです。

そこで、セラピスト・臨床心理士はクライエントとともに、クライエントの心身に耳を傾け始めることとなります。

クライエントの心の奥深くから贈られてくる「夢」にも、大きな関心を持って、耳を傾けることとなります。

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